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壊れたハードルでも再利用できる「BIYONバー」。
史上初、付け替え可能な「痛くない」ハードルはこうして生まれた

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──2023年6月、株式会社エバニュー(以下、エバニュー)から、開閉式ハードルアタッチメント「BIYONバー」が発売されました。この製品の特長を教えてください。

アスレチック事業部 高田 育(以下、高田):既存のハードルのバーを付け替えるだけで開閉式に変えられる、アタッチメントバーです。一般的なハードルのバーは木製やプラスチック製など、硬い素材が多いです。一方で、開閉式のバーは柔らかいスポンジ製であることに加え、飛び越える時にぶつかったとしてもハードルは倒れず、バーのみが開閉して通り抜けられます。つまり、生徒たちが痛い思いをしなくて済みます。バネで開閉できるハードル自体は既に存在しているのですが、それを既存のハードルに付け替えができる製品はこのBIYONバーが初めてです。規格としては、エバニュー製ハードルのバー受けにフィットするよう開発しています。


──学校がBIYONバーを導入すると、どんなメリットがあるのでしょうか。

高田:「付け替え可能」というBIYONバーならではの特長からお話しすると、現在使用中のハードルに付け替えるだけでなく、バーが壊れたり、無くなったりして使えなくなったハードルに取り付けることで再利用が可能になります。通常、バーが壊れてしまうとハードルごと買い替える必要がありますが、BIYONバーなら再利用できるので、環境にも良く経済的です。

開閉式ハードル自体のメリットとしては、やはり転倒が減ることです。恐怖心が無くなるぶん、生徒も勢い良く飛べると思います。私たちは製品開発のために小学校の研究授業をよく見学するのですが、先生は45分という短い時間を切り詰めて授業していることが多いです。生徒たちの使い勝手はもちろんのこと、限られた授業時間で「倒れたハードルを起こす」という手間を省けるようになる(が生まれない)ことも、開閉式の大きなメリットだと思います。


──開発にあたって、特にこだわったところを教えてください。

高田:一般的な開閉式のハードルと使用感を変えないことです。勢いをつけて飛んでもハードルが倒れたりしないように、安全性を考慮した設計にしています。まだ発売したばかりではありますが、テストで使っていただいた先生からは「便利そう」「欲しい」と興味を示していただいていますね。


──既に開閉式ハードル自体は存在している中で、なぜあえて「付け替え可能」なアタッチメントバーとして開発したのでしょうか。

高田:小学校を見学したとき、体育倉庫にバーの無くなったハードルがたくさん余っていることに気づきました。先生に聞くと、「バーが壊れてしまったので使えず、倉庫に置きっ放しにしている」という回答でした。社内の営業メンバーの協力のもとで調べてみると、他校でも同じ状況があると分かりました。使えないものを保管するのはもったいないですし、「バーが壊れただけなら、後付けできるバーがあれば再利用できるのでは」と考えたのがきっかけでした。開閉式であれば生徒たちが痛い思いをする機会も減らせますし、他社でこういったものを作っているところも無かったので、面白い挑戦になるのではと思いました。


──倉庫に眠る「壊れたハードル」の発見がきっかけとのことですが、普段の製品開発にあたっては、どのような市場調査を行なっているのでしょうか。

高田:BIYONバーに限らず、私が所属するアスレチック事業部では、普段からリサーチを欠かさず行なっています。私はエバニューに新卒で入社して5年目になりますが、当初から研究授業への見学に同行していました。初めは「先生方はどんなことを考えて授業しているのだろう」「生徒はどんなことを感じているのだろう」といった視点で見学していましたが、次第に他のところも目につくようになっていきました。今回、体育倉庫で壊れたハードルを発見したのも、その延長線上でした。上長からも「色々なところを見たほうが良い」と常々言われていました。


──高田さんは、普段どのように製品開発に関わっているのでしょうか。エバニューに入社した経緯と合わせて教えてください。

高田:大学ではデザイン学科に在籍していたので、就職活動も「ものづくりがしたい」という視点で行いました。エバニュー入社は「ものづくりが自分主体でできること」が決め手でした。一般的には、ものづくりに関わろうとすると「デザイン」「運送」「店頭での陳列」などの工程はそれぞれ分業されていることが多いです。ところが、エバニューは少人数なのでそれらを横断して関われますし、自分で企画を1から考えて挑戦できます。部署間の繋がりも強いので、協力し合いながら進めていける環境があります。

私は開発安全管理室にも所属しているため、新製品のみでなく既存製品の改良も担うことが多いです。事故や怪我が無いよう十分な確認を行っていますが、例えば製造上や運送上の不備が発生してしまうこともあります。そういったリスクへの事前対策も含め、図面を引き直して改良していくなど、より安全な製品を届けられるよう努めています。


──最後に、BIYONバーとアスレチック事業部について今後の展望を教えてください。

高田:このBIYONバーが、多くの人に届いてほしいですね。ハードルの木製のバーへの「痛い」という子どもたちの声は本当に多いので、まずは使ってみていただきたいなと思います。個人的には、全部のハードルがBIYONバーになっても良いのでは、とすら思っています。

アスレチック事業部の今後としては、進化し続ける小学校の授業に積極的に対応していきたいですね。例えば体育の授業にしても、私が小学生の頃は、単に「サッカーの試合をする」というような内容でした。ところが昨今は、ボールを投げる動作ひとつにしても、腕の振り方や足の踏み出し方など、「なぜこの動きができるのだろう」と考えさせる授業が増えてきています。「こういう体育用品があれば、こんな授業ができるのでは」と、私たちから学校へ提案できるようなものづくりをしていきたいです。